院長だより

Editorial Paper。

今回は医療に携わるなかでの学術的な仕事のお話です。

学術活動にもいろいろありますが、事例報告、研究結果報告などは最終的に医学論文として公表することで世のなかの知財となっていきます。
自分自身がおこなった研究結果を論文にまとめていくことも大きな仕事ですが、他者がおこなった研究の適性を評価することも重要な学術活動の一端です。

論文を発刊する雑誌(Journal)はそれぞれ編集者(Editor)を抱えており、著者(Author)から論文が投稿されると、編集者はその論文の講評を請け負ってくれる査読者(Reviewer)を世界中から探し、査読者から提出された意見を踏まえてその論文の採否を決定します。

私も大学、病院に所属していた頃から自身が関わった研究の論文報告をおこなってきましたが、医院での診療を始めてからもAuthor、Reviewer、Editorとして活動を継続しています。

先日、European Heart Journal – Quality of Care and Clinical Outcomesというヨーロッパ心臓病学会(ESC: European Society of Cardiology)が発刊する雑誌に投稿された、ある論文の査読をする機会をいただきました。

2022年から2024年に渡ってスウェーデンで治療された24,578例もの心不全症例におけるSGLT2阻害薬の使用状況を検討した論文(Swede HF研究からの報告)でした。
https://academic.oup.com/ehjqcco/advance-article/doi/10.1093/ehjqcco/qcag063/8658892

評価の高い論文については、その論文に対する講評を記す編集論文(Editorial Paper)が発行されることがあるのですが、今回この論文に対する編集論文を執筆する大変貴重な機会をいただきました。
https://academic.oup.com/ehjqcco/advance-article-abstract/doi/10.1093/ehjqcco/qcag070/8658510

論文を査読する段階でその研究に関連する多くの論文を読み込んで査読結果(Review Report)を作成、編集局に提出するのですが、編集論文を執筆するとなると、世に公表することに耐えうるしっかりとした形に短時間で仕上げなければならないので、作業自体に多くの学びがあり貴重な経験となりました。

私が初めて執筆した臨床研究論文も、同じような形で査読者の先生に編集論文を執筆いただき大変嬉しかったのですが、今回このような形で主論文の著者に貢献する作業ができ嬉しく感じました。

論文執筆、査読・編集作業は地味な仕事ではありますが、公表された結果は世のなかの知財となり後世に残る貴重な研究材料となっていくので、自分のできる範囲で活動を続けながら、少しでも貢献していきたいと思います。