心リハ風景のご紹介。
当院では2023年4月から、心臓リハビリテーション(正確には心大血管リハビリテーションと言います)に積極的に取り組んでいます。
急性心筋梗塞、狭心症、開心術後、経カテーテル大動脈弁置換術後、大血管疾患(大動脈解離、解離性大動脈瘤、大血管術後)、慢性心不全、末梢動脈閉塞性疾患(閉塞性動脈硬化症)といった疾患を患っておられる患者さんを対象に、病状・病態に沿った個別のリハビリテーションプログラムを用意し、運動耐用能の改善、生活の質(QOL)向上を目指して、運動療法をおこなったり日常生活の注意点をご案内させていただきます。
リハビリテーション実施中は、心電図、パルスオキシメーターなどを確認しながら、心血管疾患を患っておられる患者さんでも安全に実施できるプログラムを組んでいきます。
専従の理学療法士の指導のもと、準備運動から始めます。
筋力低下があり姿勢保持に難のある患者さんも、スクワットなどを組み入れ体幹のバランスを維持し、歩行能力が落ちないよう対処します。
セラバンドというゴムを使ったトレーニングで、適度な筋力維持を図ります。
エルゴメーターを用いた有酸素運動を組み入れます。患者さんごとにペダルの重さ、運動時間を設定し、胸部症状や不整脈が出ていないか確認しながら運動を進めます。運動時間の目安は10~20分程度です。
エルゴメーター終了時にボルグスケールという質問票を使って負荷量を確認します。心大血管疾患を患っている患者さんに過剰な運動負荷をかけることは好ましくなく、12-13点程度が適切な負荷量となります。
一連のプログラムを終了したのち、患者さんごとの病状・病態に沿って理学療法士からご自宅でできる運動療法、生活上の注意点などをご案内させていただきます。また月に一度、リハビリテーション総合実施計画書をお渡しさせていただき、現状の課題などをご説明させていただきます。
1回のリハビリテーションは概ね1時間程度となります。一般的には週に2~3回程度と比較的頻回に実施することが推奨されていますが、患者さんのご予定に合わせながら無理のない範囲内で継続いただくようご案内させていただきます。完全予約制となりますので、終了時に次回の予約を取らせていただきます。
心大血管リハビリテーションをおこなっている患者さんは、定期的にカンファレンスをおこないスタッフ間で疾患の管理状況、リハビリテーションの実施状況、日常生活面での問題点などをレビューしています。リハビリテーションそのものだけでなく、日々の診療を含む総合的なアプローチの質が向上することも、心臓リハビリテーションにご参加いただくメリットになります。
心大血管リハビリテーションには適応疾患が設けられているため、残念ながらすべての患者さんに取り組んでいただけるわけではありませんが、ご興味のある患者さんはお気軽に院長までご相談ください。